いくつかのアドバイス

 

甘えではないのです

子どもが「つらい」と言うと、大人が「社会に出たら、もっとつらい甘えるな」。

 

お子さまの「つらい」の限界値を、大人の基準で決めるのは違いますよね。

お子さま自身もそうですが、自分の限界を知ることはすごく大事だと思います。

 

わたしは<限界突破>って、好きな言葉のひとつですが、これは好きなものに対してだけ使ってほしいと感じます。

わたしは、いっくら眠くてもアニメやマンガや本を見始めると止まりません。

これは、好きなことが疲れ・眠たさを超えるからです。

 

でも、嫌いなこと、つらいことは続けられません。

嫌なことに対して、限界突破することは無謀です。

 

身体に異常が現れたら、無理をせず休んでいいんです。

子どもたちも最初は何でお腹が痛くなるのか、何で頭が痛いのかわからないと思います。

 

だから、大人の側で、「キミの限界だからだよ」って、ストップをかけてあげてくださいね。

 

長期休み明け

長期休暇の後は、気持ちがつらくなる時期なのかもしれません。

春休み、ゴールデンウィーク、夏休み、冬休み明けの時期ですね。

 

「新学期になったら学校に行く」とお子さまが言い出すかもしれません。

もしかしたら行けるようになるかも…、と本人も思っているかもしれないのです。

 

また「新学期になったら、学校に行ってくれるかも」と保護者の方も密かに期待しているかもしれません。

切り替えて教室にすんなり入りやすいタイミングなんじゃないかしら…、と。

 

長期休みになると、元気に外出する子がいます。

子どもが日中から外をウロウロしていても、ああ夏休みだもんね、と咎められる心配がありませんから。

 

あるいは長期休み中は怖くて外出できない、という子もいます。

外出するとクラスの子に出会うかもしれないので、不安というのもわかる気がします。

 

不登校のお子さまでも、長期休みの過ごし方は人それぞれでしょう。

 

しかしどのように長期休みを過ごしたとしても、休みが残り少なくなり始業式の日が近づくにつれて、言い様のないプレッシャーをお子さまたちは感じています。

 

身体がしんどくなったり、突然宿題のことを心配したりするお子さまがいます。

 

「そろそろ休憩は終わりだよ、学生さんは新学期ガンバってね」とみんなに言われているような気がする…。

家族のみんなも「新学期になったら登校してみないかな?」と期待しているに違いない…。

 

何気ない一言や態度から、お子さまは追い詰められていきます。

長期休み明けは、何も特別なことがなくてもお子さまがプレッシャーを感じて、気持ちがつらくなる時期なのです。

 

今、自宅で悩んでいる、緊張している、不安そうにしているお子さまのご家族様、

朝に家を出る前にためらいが見えるお子さまのご家族様、

 

「もー、こっちだって仕事やのに何をそんなことでグチグチ言うてるんよ、さっさと学校行きなさい」

 

と、いうのではなく、

背中をさすってあげてください。

 

不登校を経験したお子さまの自己評価

お子さまにあるのは、将来への可能性だと思っています。

 

唯一無二のとても素晴らしい感性や才能があります。

もちろん、それを磨いて育てていくことは大切ですが、自分の存在に自分で気づくことも大切です。

不登校のお子さまたちは、「自分なんて...」と返答したり、「(誉められると)いや、そんなことはない」と否定することが多く、また、それが謙遜ではない様に感じます。

 

私たちがお子さまの可能性に気付いて、気づかせてあげる事が出来れば、きっと「自分なんて...」をなくせると信じています。

 

先ほど上で、「謙遜ではない」と言いましたが、これも全員共通で、謙遜ではないけれど、心の底からの本心でもない様にわたしは感じています。

 

自分を完全に否定することや、好きだからやっている事を卑下したりすることが、哀しい事だと自分でもうすうす気付いている様に思います。

 

出来ない事や出来なかった事はたくさんあるし、失敗すると辛いですよね。

それでも自分を自分で応援したり、周りの人達の支えを否定せずに一緒に頑張れたら、きっと納得のいく結果がついてくるはずです。

 

勉強のやり方を身に着けよう

テストで満点を取ることが重要だとは考えていません。

勉強出来るのが偉いのではなく、勉強のやり方を知っていることが大切だと思っています。

 

勉強のやり方を知っていることは社会に出た際に必要になります。

・先輩の教えてくれた内容のメモを取ること

・「これ調べといて」と言われた際の資料作成

・「これまとめといて」と言われた際の資料整理

 

勉強のやり方を知っている人は、こうした課題の解決方法を知っている人です。

「あれ、うまくいかない」と思う事があれば、「こっちの方法でやってみよう」

「あの方法はどうかな」といろいろ試す事が出来ます。

 

勉強が出来る人ではなく、やり方を知っている人です。

本当にすごい力だと思いますが、不登校のお子さまは、自分自身で勉強をしようとチャレンジされる方も多いので、自分メソッドをお持ちの方が多いです。

 

でも、挫折して辞めてしまう人も居ます。

一人で勉強する事は、非常に忍耐力も体力も精神力も削られるからなんです。

 

いろいろなやり方や方法を持つ、いろんな人たちと勉強の時間を過ごすことが大切です。

勉強のやり方を、自分で見つけるのは大変ですが、自分で出来そうなやり方を試してみるならハードルが低くなりますよね。

 

公式を覚えずに問題を解くほうがやりやすいお子さまも居ます。

ただ勉強をするのではなく、勉強のやり方を誰かと一緒に見つけてみましょう。

 

第三者の存在

不登校のお子さまにとって、信頼できる第三者の存在は必要です。

 

いろんな場面で家族以外の第三者の存在は支えとなってくれるはずです。

それに第三者を含めて、ご家族様とお子さまの三人でお話しをすると、ご家族様がお子さまの成長を見つける良い機会になるんです。

 

普段ご自宅でお子さまの気持ちを聞いているご家族様でも、お子さまの言葉を全て理解し、対話が出来ている訳ではないですよね。

残念ながら、お子さまのすべてを理解するというのは、ご家族様でも難しいと思います。

 

ご家族様も一生懸命にお子さまの言葉に耳を傾けるのですが、お子さまも全てを打ち明けている訳ではないように思います。

 

ご家族間では、多少ながら甘えが、発生します。

 

「家族なんだから、この位でわかるだろう」

とか、

「自分はこういうつもりで言っているのを、家族だから察してくれるはず」

とか、きっと、全て言葉にしないという事が家族の絆でもあるでしょうね。

 

でも、人と人なので、気持ちを察する事にも限度があります

 

だから、お子さまが

「きちんと整理して話をすること」

「相手に伝わるように話すこと」

を実践している第三者のいる空間に、ご家族様が同席すると、

 

『うちの子すごいしっかりしてる。思ったよりすごい』

 

と、なるのです。

 

また、逆に、お子さまにとっても、

「いつも怒ってばかりだけど、家族がこんな風に考えてくれている」

「なんだ、ちゃんと伝わっているのか」

など、発見が多くなり、関係性を修復するきっかけになることもあります。

 

第三者に語り掛けることで、結果としていつもより丁寧な形で親御さんに、お子さまに話しかけているような形になるのですね。

 

ご家族様がお子さまの味方になるのは、お子さまにとっては当たり前な場合があります。

でも第三者と接することで、それが当たり前なことではなく、とてもありがたいことなんだと実感できるのです。

 

そういった面でも第三者の存在は不登校の子どもたちにとって大切なものだと言えます。

 

 

なにより、味方は多い方がいいですよね。